Baker Street Bakery > パン焼き日誌

ある翻訳家・翻訳研究者のサービス残業的な場末のブログ。更新放置気味。実際にパンは焼いてません、あしからず。

季報『唯物論研究』――アニメ批評特集号 刊行予告


学術系雑誌のアニメ特集について、共同で企画・編集・執筆をやりました。

実作業としてはおよそ半年、構想や準備も含めると1年ほどかかりました。上の写真は、没原稿も含めた膨大な紙の山の一部です(結局あの絵コンテは生かされなかったなあ……)。

それはさておき、『唯物論研究』という由緒ある雑誌で「なぜアニメ批評をやるのか」という話をし始めると長くなるのですが、(1)おそらく現時点で一般紙媒体ではアニメの批評なるものは不可能になっている、(2)アニメ批評はどうやったらできるのかみんなよくわからない、のふたつにつきるのだと思います。そんな問題意識から生まれたこの号は、アニメ批評をするための「準備」の特集で、言ってみれば「こうですか?わかりません><」状態なのかもしれません。それでも、こういったものをアニメ界にぶち込む意味はあると思いますし、むしろ今だからこそ、それをやらなければならないのだと思います。

もちろん、今号の目玉は巻頭の山本寛さんへの超ロングインタビュー! この2年間、ずっとアニメ界の話題の中心であった山本さんに、アニメ批評や『エヴァ』、『ハルヒ』や例のアレについて、アニメのヌーヴェル・ヴァーグをキーワードに語っていただきました! 学術誌だからこそできる、真面目で自重しないトーク

そしてアニメ批評の過去・現在・未来を多角的に見つめるため、さまざまな方に論文・エッセイを書いていただきました。以下が、現在予定されている目次です。


季報『唯物論研究』104号
「アニメ批評のエクソダス
【目次】
アニメ批評のエクソダスに向けて
アニメ批評家はまだ生まれていない――山本寛インタビュー
ぼくとセカイのはじまるところ/大久保ゆう
アニメ批評宣言に向けて/倉橋克禎
トランス・ジャンル・クリティーク/塩沢由典
ナチュラリストと漫画映画の時代――動物をめぐるトランスナショナルな想像力/清水知子
消費環境整備としての批評――ジャンルの最適化を抑止する批評の不可能性/更科修一郎
アニメ主題歌批評試論 僕と君と美しきセカイ/高山博
現代社会を反映するアニメ――“00”年代に求められる《自己変革−教育》/山本貴之
レポート:CGアニメーションの現状と将来の可能性/沖本真也
萌えないゴミと萌えるゴミ――二〇〇七年のアニメ周辺を振り返る/十河にえ
まっすぐな語りはどこにあるのか――アニメ批評地図/大久保ゆう
(以上は現時点での情報です。変更になるおそれがあります。)
この号についてのお問い合わせは、現時点では私のところまでメールをください。(ご面倒ですが右側から私のホームページに飛んでメアドを拾ってきてください。)

今のところ、頒価は1000〜2000円のあいだ、刊行は6月頭を予定しています。学術誌なので普段は定期購読のみなのですが、今回は特集の内容もあって、インターネットでの委託販売をするつもりです。

もし、一般書店さまで「うちに置きたい!」というところがありましたら、それもひとまず私までメールでご連絡ください。正直、何部刷っていいのかわからないので、購入予定の方からコメントなどもらえると参考になって嬉しいです。一般向けは500部ほど刷る予定。予約等はまだ何にも考えてませんが、今後の動向はHPおよびこのブログでお伝えいたしますので、どうぞよろしくお願い致します。

ちなみにこれが普段の『唯物論研究』。ものすごい真面目な季刊誌です。