Yen PressのManga(その1)
久しぶりのblog更新。というのも、こういうのはちょっとtwitterではやりづらいな、と思いましたので。
最近〈英国パラソル奇譚〉のコミカライズ(Soulless: The Manga, Vol. 1 (The Parasol Protectorate (Manga)))でにわかに一部クラスタに注目された Yen Press の Manga ですが、マンガ読みの方からは、日韓のマンガを英訳して出版している会社としてそこそこ知られています(たとえばご存じ『けいおん!』や『よつばと!』などのほか、スクエニ系のマンガ、または『涼宮ハルヒの憂鬱』や『魔法少女まどか☆マギカ』といったコミカライズ系のものも)。
そしてその一方でオリジナルとして、主にアメリカのヤングアダルト向けベストセラー小説をアメコミではない Manga としてコミカライズなどもしており(作画は主に中韓の作家)、今回の〈英国パラソル奇譚〉もそのラインナップのひとつなのだと思います。ターゲットとしてはどうやらティーンの少女と思われるのですが、前々から個人的に気になっていて取り寄せては読んでおりました。
もちろん面白いかどうかというのはおのおのの趣味もあるのですが、中身は元々YA小説だけあってなかなかに読ませるもので、教育的観点から見るなら日本のマンガの英訳を読むよりも英語やアメリカ口語の勉強になるのではないかとも思えます。そこで興味を持つ方もおられるのではと、何回かに分けて彼の地のオリジナルマンガをご紹介しようという考えに至ったわけです。
第1回は、主に動きのある Manga から。
Maximum Ride
Maximum Ride: The Manga, Vol. 1
- アーティスト: NaRae Lee
- 作者: James Patterson
- 出版社/メーカー: Orbit
- 発売日: 2009/01/06
- メディア: ペーパーバック
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- 既刊〜6巻
【あらすじ】人里離れた山奥の小屋でひっそりと過ごす少年少女たち。実は彼女らは背中に羽の生えたミュータントであり、自分たちを作り出した〈学園〉なる研究機関から逃亡中の身。平穏に暮らしていたはずの彼女たちのもとへ、ついに追っ手が迫り、仲間の少女がさらわれてしまう。奪還しようとついに彼女らは山を下るが、待っていたのは追いつ追われつの心休まらぬ疑心暗鬼の日々。そんななか、リーダー格の少女マックスの頭に「世界を救え」という謎の声が聞こえる……
原作はサスペンス作家ジェイムズ・パターソンによる映画化も控えた人気YA小説シリーズ(未邦訳)で、北米のManga売り上げランキング上位の常連。日本では前身に当たる小説『翼のある子供たち (ランダムハウス講談社文庫)』『翼ある者のさだめ (ランダムハウス講談社文庫)』の2作の訳が出ています。
お話としては、ちょっとSFっぽいティーン向け海外ドラマを見ている感じで、登場人物も向こうっぽく年齢人種様々。主人公のマックスはハイティーンの金髪白人、めっぽう気の強い子で、そのほかその恋人ポジションに冷静な皮肉屋の中華系の少年、脇にマシンガントークの黒人少女、手先の器用な盲目少年、あとショタロリひとりずつといった面子。基本的にはこの少年少女たちが集合離散を繰り返しながら、色々な人に出会い事件や日常が様々挟まりつつ逃亡劇を繰り広げるというものです。シリーズの本筋としては、この先どうやら彼女たちが世界を救うそうなのですが、既刊分(〜4巻)ではまだそこまで入っておらず、逃亡劇の終わりそうな気配が見えたくらい。
敵味方やシナリオの向かう先がわからないのが好きな人は楽しめるかも。ただ主人公の造形が類型的というか、〈リーダーぶるのだけれどその強い我のせいで何事もうまくいかずいらいらする(成長しない)〉鬱屈型少女なので、好き嫌いは結構激しく出ると思います。むしろ日本で人気が出るとすれば、序盤で速攻さらわれてしまう最年少のちょっぴり腹黒ロリっ子エンジェルちゃんでしょう。きっと「エンジェルちゃんマジエンジェル」と言い出す人がいるはず……と思ったらすでにいらっしゃいました。
絵は結構整っていますが特徴もなく、よく言えば癖がないので日本のマンガに慣れた人ならすんなり読めると思います。Amazonの中身検索でもどんなものかは見えるので、気になった方は試し読みしてみるといいかもしれません。
Maximum Ride: The Manga, Vol. 2
- アーティスト: NaRae Lee
- 作者: James Patterson
- 出版社/メーカー: Orbit
- 発売日: 2009/10/27
- メディア: ペーパーバック
- クリック: 4回
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Maximum Ride: The Manga, Vol. 3
- アーティスト: NaRae Lee
- 作者: James Patterson
- 出版社/メーカー: Orbit
- 発売日: 2010/08/17
- メディア: ペーパーバック
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Maximum Ride: The Manga, Vol. 4
- アーティスト: NaRae Lee
- 作者: James Patterson
- 出版社/メーカー: Orbit
- 発売日: 2011/04/26
- メディア: ペーパーバック
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Maximum Ride: The Manga, Vol. 5
- アーティスト: NaRae Lee
- 作者: James Patterson
- 出版社/メーカー: Orbit
- 発売日: 2011/12/13
- メディア: ペーパーバック
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Maximum Ride: The Manga, Vol. 6
- アーティスト: NaRae Lee
- 作者: James Patterson
- 出版社/メーカー: Orbit
- 発売日: 2012/12/11
- メディア: ペーパーバック
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Daniel X
- アーティスト: SeungHui Kye
- 作者: James Patterson,Michael Ledwidge
- 出版社/メーカー: Orbit
- 発売日: 2010/10/26
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- 既刊〜3巻
【あらすじ】天涯孤独の少年ダニエル・Xは、エイリアンハンターの宇宙人。両親をあるエイリアンに殺されて以後、親の稼業を継ぐとともに復讐のため相手を追いつつ、その超能力をもって、人のあいだに潜む悪のエイリアンを狙い狩ってゆく。テレパシーで相手の心を読み、そして自らの妄想を具現化するという強力な力で、様々な窮地を切り開く少年。出会いと別れを繰り返しながら、親の仇へと近づく情報を探しながら……
原案が Maximum Ride と同じジェイムズ・パターソンによるYA小説シリーズ(未邦訳)のコミカライズ。各巻完結なので上のものよりだいぶ読みやすく、SFバトルものなので少年にも楽しめる作りになっています(でもダニエルくんの作画がややショタっぽいので基本はやっぱり女性向け?)。
あらすじは上記の通りで、1巻ごとに対決するエイリアンが異なるのですが、面白いところは何と言ってもその超能力。妄想の具象化、たとえば銃とか武器とかを出せるのは非常に便利で、バトルっぽい効果があるのですが、イメージが具体的にできるものなら物だけでなく人も出すことができるので、天涯孤独であるところのダニエルくんはなんと脳内友達まで具現化してしまうのです。
エア友達! 「はがない」もびっくりの仕様です。まあときどき自分の親も出しちゃうのですが、もちろん友達がいるなら〈彼女〉だっているわけで、このダニエルくん事件のなかでちょいちょい出かけた先に彼女っぽい子を作るんですが、そうなると脳内彼女も嫉妬しちゃうわけで!
そんなダニエルくんを見ていると、生い立ちも相まってたいへんかわいそうと思わず同情してしまう、そんなマンガです。こちらも可もなく不可もない整った作画で、バトルありコミカルな部分もあり、非常にまっとうなエンタメになっております(私は Max よりもこっちが好み)。どうやら原作を元にした Nintendo DS ソフトも海の向こうでは出ているみたいですね。
- アーティスト: SeungHui Kye
- 作者: James Patterson,Ned Rust
- 出版社/メーカー: Orbit
- 発売日: 2011/07/26
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- アーティスト: SeungHui Kye
- 作者: James Patterson,Adam Sadler
- 出版社/メーカー: Orbit
- 発売日: 2012/05/29
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Nightschool
- アーティスト: Svetlana Chmakova
- 出版社/メーカー: Orbit
- 発売日: 2009/04/21
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- 全4巻
【あらすじ】銀髪ボクっ娘のアレックスは自宅学習児で、最近夜間学校の職員になった姉と二人暮らし。けれども秘密があって、実は二人はモンスター、しかも姉の勤め先は同じくモンスターたちの通う学校! ところがある日、姉が学校で失踪、気になったアレックスは行きたくない学校へ潜入するが、誰も姉のことを覚えていないという。行方を追ううち、アレックスは自らの運命に巻き込まれていく……
これは原作のないオリジナルマンガ。しかしながら、そのためかシナリオ面がかなりもたついていて、またかき分けがあんまりうまくないのもあって、日本のマンガに慣れていると、読んでいてかなり焦燥感にかられてしまうかもしれません。せっかく主人公のアレックスがかわいいのに、途中で出てくる(必要性のわからない)〈ハンター〉という一団のエピソードにページを割きすぎて、魅力も半減。どっちかというと打ち切りマンガを読んでいる気分に。そのためか、同作者の次回作には原作がつくことになりました。
- アーティスト: Svetlana Chmakova
- 出版社/メーカー: Orbit
- 発売日: 2009/10/27
- メディア: ペーパーバック
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- アーティスト: Svetlana Chmakova
- 出版社/メーカー: Orbit
- 発売日: 2010/04/20
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- アーティスト: Svetlana Chmakova
- 出版社/メーカー: Orbit
- 発売日: 2010/10/26
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と、いうような感じで、次はいわゆる「日常もの」のご紹介をしようかと思います。(つづく)