クトゥルー神話もの海外絵本+おまけ
世にはご自分のお子さんに何とかして幼少よりクトゥルー神話技能を叩き込み、英才教育を施そうと妄想される方がおそらく2の平方根くらいはいらっしゃるのではないかと愚考致しますが、実はそんな方にお勧めのクトゥルー絵本が海外で数種類出ております。数種類ということはやはり好き者向けで出来も悪くて需要がないんだななんて早合点してはいけませんよ。いずれも非常に頭がおかしくて素晴らしい作品ばかりです。てなわけで、わたくしがおそるおそる実見致しましたクトゥルー絵本をここに参考までにご紹介する次第。
Baby's First Mythos
- 作者: C. J. Henderson,Erica Henderson
- 出版社/メーカー: Z-Man Games
- 発売日: 2005/01/19
- メディア: ボードブック
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Aはアザトース(Azathoth)
宇宙の中心に棲まい
我らの立ち入れぬ
処より我々を夢見たり
みたいな文章と、デフォルメではなく割とキモい感じの挿絵が並べてあって、これが延々クトゥルーネタのままZまで続きます。まだBがビヤーキー、Cがクトゥルー、Dはダゴンあたりはベタでいいんですが、GがゴルゴロスとかQがキーザとかだんだんと(以下略)。数字を覚えるくだりでも、0の文章なんかは "0 is the sum of ALL HOPE" となかなか洒落ております。全ページ白黒画ですが、ながめているだけでも楽しい絵本。クトゥルー好きのおっさんヘンダーリン(本文)、その娘エリカ(画)の合作となっております。序文はロバート・プライス。
Where's My Shoggoth?
- 作者: Ian Thomas,Adam Bolton
- 出版社/メーカー: Archaia
- 発売日: 2012/10/09
- メディア: ハードカバー
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あとオマケで見返しにクトゥルー神話すごろくがついています。たとえば「アザトースを見た! サイコロを振って奇数なら発狂。1回休み」とか「ミ=ゴに脳を盗まれた。サイコロを振ってその数だけ戻れ」などといったコマがありまして。誰かこれ遊んでみませんかね。
Mini Mythosシリーズ
Mini Mythos というのは、アメリカの有名な絵本たちをパロディ化したケネス・ハイトによるクトゥルー神話絵本シリーズです。これまでわたくしの知る限り3冊が出ているのですが、最初のやつは日本のクトゥルー界隈でもそこそこ話題になったので、みなさんご存じかもしれませんね。あとの2冊はそもそも元ネタがややマイナーなので話題にしづらかったのか、あんまり取り上げられてませんが。
Where the Deep Ones Are
Where the Deep Ones Are (Mini Mythos)
- 作者: Kenneth Hite,Michelle Nephew,Andy Hopp
- 出版社/メーカー: Atlas Games
- 発売日: 2009/09/01
- メディア: ハードカバー
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- 作者: モーリス・センダック,じんぐうてるお,Maurice Sendak
- 出版社/メーカー: 冨山房
- 発売日: 1975/12/05
- メディア: ハードカバー
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The Antarctic Express
The Antarctic Express (Mini Mythos)
- 作者: Kenneth Hite,Michelle Nephew,Christina Rodriguez
- 出版社/メーカー: Atlas Games
- 発売日: 2009/09/02
- メディア: ハードカバー
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- 作者: クリス・ヴァン・オールズバーグ,Chris Van Allsburg,村上春樹
- 出版社/メーカー: あすなろ書房
- 発売日: 2003/11/10
- メディア: 大型本
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Cliffourd the Big Red God
Cliffourd the Big Red God
作者:Kenneth Hite, Andy Hopp
出版社/メーカー:Atlas Games
発売日:2011/7/1
「おおきいあかい神クリフォオド」、こいつの元ネタはノーマン・ブリッドウェル『おおきいあかいクリフォード』。これも日本では大して知られていないのですが、アメリカではベストセラーのシリーズ絵本で、テレビアニメも評判だったとか。原作は、明らかにでかすぎる(家屋よりもでかい)赤犬をペットにしている少女のたあいのないユーモア絵本なんですが、この本、読んだ人にはわかる「そこはかとない狂気」があるんですよね。たぶんそこに注目されてパロディにされているんだと思うのですが、主人公の性別を変えて、なんとウィルバー・ウェイトリー&そのグロいでかいペットとして翻案されます。今回は元ネタの文章が結構そのまま残されつつウェイトリーの話になっているので、ちょこちょこ文章が破綻しているというか頭おかしい感じになっているはずなのですが、むしろ元ネタよりも自然さが感じられるという不思議な転倒が起こってしまっていて。まあウィルバー・ウェイトリーのお話としては間違ってなくもない感じがしますからね。(なぜかこれだけ日本のamazonからは買えません、あしからず)
- 作者: ノーマンブリッドウェル,Norman Bridwell,正木玲子
- 出版社/メーカー: ソニーマガジンズ
- 発売日: 2002/06/01
- メディア: 大型本
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もし誰かがこれらを訳すとなれば、それぞれの絵本の訳文パロディも込みが必須でしょうね。つまり、神宮輝夫風・村上春樹風の訳文パロディをしなければならないわけで……(翻訳者はマゾい人が多いのでたぶん喜んでやるでしょう)
おまけ
ここからはおまけで、ちょっとこわめグロめの絵本のご紹介。
The Adventures of the Princess and Mr. Whiffle
The Adventures of the Princess and Mr. Whiffle: The Thing Beneath the Bed
- 作者: Patrick Rothfuss,Nate Taylor
- 出版社/メーカー: Sea Lion Books
- 発売日: 2012/12/18
- メディア: ペーパーバック
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The Wolves in the Walls
- 作者: Neil Gaiman,Dave McKean
- 出版社/メーカー: HarperCollins
- 発売日: 2005/08/01
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てな感じで、お子さんの英語教育がてらクトゥルー神話絵本・ホラー絵本などはいかがでしょうか!(笑)