『不思議の国のアリス』(1886年ミュージカル版)の翻訳開始予告
『不思議の国のアリス』と言えばルイス・キャロルの有名な文学作品ですが、実は一般的にあまり知られていないもののキャロル存命中に作者自ら関与したミュージカル版『アリス』なるものがあります。詳しくは英語版ウィキペディアに載っていますが、今年はこのブログの活性化の意味も込めて、その台本をぼちぼちと訳しながら近々ここに草稿を連載していこうかと考えております。
台本の著作権は切れておりますので、最終的にはいつも通りクリエイティブコモンズのライセンスを付けて、ひとつのテクストとして公開する予定です。昔からおなじみの方には「あのときの王子くん」のときと同じ方式である、とご理解いただければ幸いです。
ただいま色々な下調べや下読みをしている最中ですが、「あのときの王子くん」のときの〈挿絵〉の問題と同じように、入手の難しい問題にぶつかっていますので、まず最初に記しておきたいと思います。それは〈音楽〉の件です。ミュージカルにはつきものですね。色々と錯綜してはいるのですが、わかりやすいように箇条書きにいたします。
- ミュージカルの歌・伴奏の作曲者はウォルター・スローター(Walter Slaughter, 1860.2.17–1908.3.2/著作権失効)。
- 歌・伴奏のスコアは公演当時のみの販売で現在入手困難。
- 生原稿はオーストラリア国立図書館が所蔵。
- ネットを通じて有償コピーを依頼すると、著作権が生きているので不可、との返答。
- (なお著作権継承者の許可を文書で得ればこちらでもコピー可、とのこと)
- ……えっ、継承者って誰? プラス、失効しているはずなのに有効とはいかに。
- (オーストラリアの著作権法では、未公表の作品は著作権が永久に有効とのことで、生原稿のなかにそれに値するものが混じっている)
- 百年前に亡くなった人の継承者なんてわからないよ……というわけで手に入らないまま現在に至る。
台本のスクリプトはすでに入手できているのですが、楽譜については未入手。もちろんなくてもスクリプトのみの翻訳は可能ですが、伴奏はあきらめても歌に関しては可能な限り節を合わせたヴァージョンも作りたいと思っています。もし入手可能なものを知っておられる方は、お教えいただけると幸いです。
翻訳開始はもう少し先ですが、そのときまでしばしお待ちください。(お楽しみに)