Baker Street Bakery > パン焼き日誌

ある翻訳家・翻訳研究者のサービス残業的な場末のブログ。更新放置気味。実際にパンは焼いてません、あしからず。

はじめてのことば

ブログ再開しました。相変わらずこういうのは続かない性格なので、いつまで書くかはわかりませんが、お仕事などのお知らせをかねて、書き連ねようかと思います。

個人的な事情があれこれあって、一年間学業を休学せざるを得なくなったのですが、そのあいだ時間が余ってしまいますので、しばらくは文学の世界に専念しようということになりました。というわけで、この一年は翻訳やら何やらでたぶん活発的に活動していくと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

いちばんはじめのここでのお知らせは、トップページにもありましたように、オーディオブック計画の話です。昔からこのサイトをごらんの方はご存じかと思われますが、以前よりシャーロック・ホームズ全集なる計画を立てて、細々とホームズ譚の翻訳を進めて参りました。しかし、ある時期よりいろいろな事情があって更新が途絶、進まないままになっておりました。

やる気はあったので、いくら何でも放置しすぎだろうと思っていた矢先によいお話があったので、声の魔術師であるところの佐々木健さんと組んで、私が訳していくそばから佐々木さんが読んでCD化していくという新規プロジェクトを立ち上げました。それが「シャーロック・ホームズ全集+オーディオブック化計画(仮)」です。

短い期間のあいだに、割とたくさん出ると思います。と言っておくと自分へのプレッシャーになるので、あえて言っておきます(笑)。詳しくは、当該のページをご覧ください。

ただ闇雲に活動するのもあまり好きでもないので、一応テーマを持ってやっているのですが、個人的なこととしては、やはり〈著作権〉と〈著作権フリー〉の問題です。前からそのあたりのことは、記事を書くなりしていろいろと考えてきたわけではありますが、先日のThink Cのパーティにも出席して考えたことは、ここからはクリエイタによる具体的な実践とか、あるいは新しい著作権法に対する具体像や案などを考えていくステージなのではないかな、ということです。

過去の作品が〈著作権フリー:パブリックドメイン〉であることは、今を生きるクリエイタにとってどんな貢献をするのか。今のクリエイタがものを作って生きていくためには何が必要で、著作権法はどうあるべきなのか。そんなことを文芸の世界につっこんで、身をもって考えていきたいと思っています。

前者は、おつきあいのある方とは時々思いついたことをべらべらとしゃべったり書き送ったりしているのですが、「〈パブリックドメイン〉でこんな面白いことができるよ!」とか、「〈パブリックドメイン〉は自分にとってこんなに役に立つんだよ!」とか、そのあたりのことです。

後者は、実際に物書きとして生きてみることによって、いったい何が足りていないのか自分で探っていこう、という観点で、とりわけ若い立場から考えてみたいと思います。今の著作権法は基本的に〈大きなクリエイタ〉や〈大きな権利団体〉のものであって、また現状維持あるいは自分たちの権利増大を考えているのは、その人たちであるわけです。そこへ、一億総クリエイタ時代などと言われている今、数多くの〈小さなクリエイタ〉を含めた形でその法律を再構築しようとするならば、あらかじめ目的意識を持って小さいところからクリエイタの実情を体験していこうというのは、意味のあることなのではないかと思うのです。

このブログは、そんなパブリックドメインと戯れつつ、一方で作品を書いたり翻訳をしたり物書きとして生きながら、著作権について考えるブログです。というわけで、みなさまよろしくお願いいたします。