Baker Street Bakery > パン焼き日誌

ある翻訳家・翻訳研究者のサービス残業的な場末のブログ。更新放置気味。実際にパンは焼いてません、あしからず。

『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』雑感

先週末『ヱヴァ破』を見ました。豊洲で。その感想というものは、奈須きのこさんのこのコメントにすべてが言い尽くされているように思います。

2009/6/27 : 一言だけ。(きのこ)■
色々たてこんでいるのに、吐き出しておかないと死にそうなので一言だけ。
 
 
 
 
エヴァ破が凄すぎて生きているのが辛い。
 
 
 
 
ありがとう、ありがとう。

竹箒日記

少しでも物を創る行為に従事したことがある人なら、あのフィルムを見ると絶望と歓喜でぐちゃぐちゃになってしんどくなるんではないでしょうか。私なんぞに言えることなんてほとんどないわけですが、何か記せるのだとしたら、印象として心に残ったのは「庵野さんは非常に誠実なクリエイタで、この10年間と真摯に向き合い、それを回収した上で乗り越えようとしている」ということです。10年といっても色々な意味があって、

  1. GAINAXの10年
  2. 日本アニメの表現としての10年
  3. エヴァ』の10年

というような感じで。1と2に関しては私よりも詳しい人が語ってくれるような気が致しますが、特に3は強く感じました。これまで二次創作という形で綴られてきた様々な人の、シンジやレイ、アスカに対する想いみたいなものが、キャラに憑依しているようにも見えて。変な話ですが、キャラが何かご神体みたいなものだとすると、そこへ10年のあいだ大勢の人が祈りやら何やらを捧げてきたわけで、その結果、ついにフィルムへそれぞれの神様が降臨してきた、みたいな。積み重なった想いが実体化したから、その積み重なった分だけキャラは変貌していて、でもそれはみんなが望んだものでもあるという……そういう妙な感覚にとらわれるくらいの、迫力という言葉では言い表しきれないほどの何かを『ヱヴァ破』に感じました。

もちろん予算面でも、結集された個々のクリエイタたちのパワーという面でも、その「本気さ」が伝わってくる作品でした。(序のときは演技もどうかと思ったけど、破はこっちが土下座しなきゃいけないと感じるほどの名演技で、本当に生意気言ってすいませんでした。)

みなさんも、山手線でぐるぐる廻って人心をたぶらかそうとする妖怪ポニョの魔の手から早く逃げて、ぜひ映画館へ足を運んで下さい。