Baker Street Bakery > パン焼き日誌

ある翻訳家・翻訳研究者のサービス残業的な場末のブログ。更新放置気味。実際にパンは焼いてません、あしからず。

アニメ

さよなら偶然の小屋、こんにちは儀式の社

かつて映画館は、偶然の小屋だった。

和製ミュージカルとしての『劇場版マクロスF 虚空歌姫〜イツワリノウタヒメ〜』

みなさんは、ミュージカルがお好きですか?

ネット上のアニメ感想にまつわる著作権ガイドラインを考えてみる

前エントリの予想以上の反響に正直びっくりしています。世間の著作権への意識が高いのか、それとも別の理由によるものなのかは、私にはわかりませんが、それはそれとして、前回の続きでも書いてみようかと思います。先のエントリで触れたのはあくまでもフェ…

アニメ批評とフェアユース

先日のNHK「ザ☆ネットスター」で、フェアユースの話が出ましたね。フェアユースを簡単に説明しますと、 著作物を無断に利用しても、その利用が公正なものである場合、著作権の侵害にはならない ということで、番組の内容もとても興味深いものだったのです…

アニメを随筆してみること 3

随筆というのは、かなり個人的な営みではあるのですが、その随筆の裏にある筆者というのが必ずしも本当の自分である必要はないんじゃないか、と思ったりもします。

『エヴァ』(…)→『School Days』(笑)→『ヱヴァ』(!)――主人公と私とアニメを見る場所

アニメを単なる映像だけのものとして見るのはひとつの見方だと思うのですが(ニュークリティシズム的に)、個人的にはどうしても、作る人・見る人がいて、そして時代やら時間やらが流れていて、そんでもって見る場所もあるということを少なからず意識してし…

アニメを随筆してみること 2

随筆のいいところは、評論や批評とは違って、その流れや内容そのものが破綻していても構わない、というところです。つれづれなるままに書くからこそ、何かが残ったり何かが生まれたりします。首尾一貫してなくてもいいということは、主題についてもそうです…

『ヱヴァ序』と『サマーウォーズ』における居心地の悪さ

こういうことを書くのは気がすすまなくて、人様に読んでもらうものなのかどうかもわからないのですが、思いの外みなさん違和感を口にしてらっしゃるので、それに乗っかって私も一個人の戯れ言として。

アニメを随筆してみること 1

以前、「アニメ評論/批評を書いてみること」という一連のエントリを書きましたが、今度はその随筆バージョンです。たぶん誰にも期待されていないような気がするのですが、あれはあれで結構書くのが大変なところがあるので、もっとざっくばらんや、直感に近…

エンドレスエイトと意味飽和

ようやくエンドレスエイト終わりましたね。色んな意味でネットでは盛り上がっていたみたいで、今年の夏は「エンドレスエイトごっこ」(8月最後の2週間にこれでもかと予定を詰め込む)をする人が出てくるんじゃないかと思ったりもするのですが、さて。8回…

アニメとベンヤミンと翻訳

サイトを巡回していると、id:tukinohaさんのところで、翻訳とアニメに関して触れた記事を発見したので、翻訳研究の専門家として反応してみます(勝手にやっちゃって申し訳ございません、tukinohaさん。どうかご容赦を)。今回は当該エントリをご参照しつつお…

『川の光』平川哲生監督Twitterコメンタリまとめ

今日NHKで再放送されたアニメ『川の光』ですが、監督の平川哲生さんがTwitterで放送中にリアルタイムでコメンタリをしてくださったので、ここにまとめて転記いたします。わかりやすいように、その発言に通し番号を振って、さらにアニメが始まって何分後のも…

(メモ)『川の光』再放送

7月20日(月) NHK総合 午前8:35〜9:57再度見て、ちゃんとした感想を記したいです。ちなみに7月20日って私の誕生日だったり。着々と30代へと近づく。うひゃあ。

『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』雑感

先週末『ヱヴァ破』を見ました。豊洲で。その感想というものは、奈須きのこさんのこのコメントにすべてが言い尽くされているように思います。 2009/6/27 : 一言だけ。(きのこ)■ 色々たてこんでいるのに、吐き出しておかないと死にそうなので一言だけ。 エ…

『川の光』ついに本放送!

(先行上映会レポについてはこちら。)土曜日、NHKの特集番組「SAVE THE FUTURE」内で放送されましたね! もちろんメイキングも含めて再視聴しました。ビデオにも録画したので何度も見ると思います。見逃した方は、ただいまNHKオンデマンドでも1日315円で視…

平川哲生初監督作品『川の光』プレミアム先行上映会レポ

というわけで、全国に先駆けた上映会へ行ってまいりました。なので誰よりも早くレポいたします。今日の滋賀県の天気は快晴で、お出かけ日和。会場は大津市生涯学習センターというで、いわゆる公民館です。普段はプラネタリウムとか科学館っぽいこととかやっ…

平川哲生監督『川の光』プレミアム先行上映会のお知らせ

カトゆー家断絶をフォローしているみなさまにはおなじみの平川哲生さんが、ついにアニメ初監督ということで話題沸騰中の『川の光』ですが、うちの地元であるところのNHK大津放送局では6月6日(土)、全国に先駆けてトップバッターで上映会が開催されま…

『KEY THE METAL IDOL LIMITED BOX』が届いた

ついに待望の『KEY THE METAL IDOL LIMITED BOX【初回限定生産】 [DVD]』が届きました! 嬉しすぎます。先行販売のものと内容物やパッケージが違いますが、いやもう、手元にあるだけで満足というか、上がりまくるテンションをどうしていいやら。英語吹き替え…

アニメ評論/批評を書いてみること 5

A 批評がリアルである必要なんてないかもしれません。けれども、個人的には何かをしゃべるときに、それが自分にとってリアルなことなのかどうかを考えてしまいます。つまり、評論なり批評なり何でもいいんですが、語る行為が常に創作なり管理なり入力なり翻…

一クール・シリーズ構成考(メモ)

序 これまでアニメのシナリオについて書かれた本はいくつかある。鳥海尽三『アニメ・シナリオ入門 (シナリオ創作研究叢書)』、星山博之『星山博之のアニメシナリオ教室』、冲方丁『冲方式アニメ&マンガ ストーリー創作塾』、雪室俊一『テクマクマヤコン―ぼく…

アニメ評論/批評を書いてみること 4

そこからまた進んで、今度は年末年始あたり。だんだんと「じゃあどうせなら、あんまり人の知らないことを書けばいいんじゃないのか」みたいな気持ちになってきまして。アニメに対して何か資することができるのだとしたら、の話で。誰かが知っていたりわかっ…

聴くエンターテイメント・オーディオドラマとしてのアニメ

最近ではアニメにも字幕放送がつくものがあるし、DVDにもインターネットを介した字幕サービスが少しずつついてくるようになった。それはつまり、アニメの視聴者に「耳の聞こえない人」がいるということが(主として作り手側に)認知されつつあるというこ…

アニメ評論/批評を書いてみること 3

今度はそこからさらに数ヶ月が経って、秋ごろ。私は昨年から職業として本格的に「脚本」と「音・声」にかかわるところで生きているわけなんですが、だったら自分が「切実なもの」として書けることっていうのは、そっちあたりにあるんじゃないか、などという…

アニメを眠りから呼び覚ます者たち(『紅 kure-nai』)

説明しよう。これは、22歳と15歳の女の子が、コワモテの王様に「ぶっとばしにいくぞ」と誘われて、3の倍数という悪魔を大勢の仲間たちとともに倒しに行く作品である。 長らくTVアニメ大陸には3の倍数がはびこっていた。悪魔たちはそこに住む人々の声…

アニメ評論/批評を書いてみること 2

アニメを語るときに、ストーリーに触れなければいけない(?)というのは、一種のストレスでもあります。物語の内容に触れて終わり、というアニメ評論なり批評なりに閉口している人は、かなり多いはずですよね。あるいはアニメにちりばめられた記号を拾って…

アニメと空気(『らき☆すた』『ひだまりスケッチ』『ARIA』)

まずはアニメと実写との違いについて考えよう。 実写は、あるいは実写に必要なカメラという撮影装置は、現実を過度に見てしまう性質のモノだ。普段見えていなかったものをも透徹せしめ、それを暴き、露わにしてしまう。現実世界の一部分を切り取ることによっ…

アニメと狂気(『崖の上のポニョ』)

最初に断言しよう、アニメは元来から狂気を孕んでいるものであった、と。そうだ、誰がなんと言おうと、アニメは「狂って」いるのだ。だからこそアニメなのだ。 実写の場合、映像はカメラを通して現実を撮影されるものだ。それゆえに、そこに映るモノは、基本…

アニメ評論/批評を書いてみること

「書き方なんてわからない」と言ってしまえば簡単だけど、「わからなくても書くしかない」の方がたぶん真実。どうやったらアニメのためのアニメ評論/批評なんてできるのかは皆目見当が付かないけれど、そういうものと取っ組み合いの喧嘩なら誰だってできる…

『KEY THE METAL IDOL LIMITED BOX』が待ちきれない

待ちに待ちかねた『KEY THE METAL IDOL LIMITED BOX』! 前回のBOXがちょうどアニメから離れていてさらに学生だったこともあって買いそびれてしまいましたが、ついについに3月18日に発売! というわけで待ちきれなくなって、以前に買い集めたレンタル落ち…

直視の不安――キィは何/誰を見ているか(『KEY THE METAL IDOL』)

〈カメラ目線の気持ち悪さ〉というものはテレビを見る人なら誰でも感じたことがあると思う。居心地の悪さというふうに言い換えてもいいかもしれない。カメラがある一面の映像を切り取る以上、〈カメラ目線〉というのも意図的なものであり、そのためカメラを…