Baker Street Bakery > パン焼き日誌

ある翻訳家・翻訳研究者のサービス残業的な場末のブログ。更新放置気味。実際にパンは焼いてません、あしからず。

平川哲生初監督作品『川の光』プレミアム先行上映会レポ

というわけで、全国に先駆けた上映会へ行ってまいりました。なので誰よりも早くレポいたします。

今日の滋賀県の天気は快晴で、お出かけ日和。会場は大津市生涯学習センターというで、いわゆる公民館です。普段はプラネタリウムとか科学館っぽいこととかやったりときどき子ども向けのアニメを上映していたりします。もしかしていつもの上映会の一環なのかな。高校時代にはここで色々やったので、行くのは10年ぶりくらいです。右は正面からの写真。ちなみにすぐ目の前が琵琶湖で、湖岸の公園があります。
さて、お昼からの上映に入ったのですが、周りはどこをどう見ても子ども連れ&お年寄り。若い人が誰もいなくて、ひとりで浮きまくりでした。たぶん幼稚園か就学前くらいのお子さんがいちばん多かった気がします。入場は75人限定でしたが、ほぼ全席埋まっていました。みんなどこから上映会の情報を聞きつけてきたんだろう? やっぱり幼稚園保育園あたりには連絡が行ってるのかな?

最初にNHKの人が簡単に挨拶してから、本編の上映。直前まで子どもの声でわいわいがやがやしていたのですが、いざ映像が動きだすと、いきなりしんとしてそれから誰も彼も子どもはじーっと集中してみてました。ちょこちょこと数分ごとに小さな動きやら小ネタなんかが挟まれていて、見ていて飽きないようになってたからだと思うんですが、正直子どもをずっとおとなしくさせるのってめちゃくちゃ難しいので、おおすげえと別のところで関心。

肝心の視聴した感想ですが、良かった! とてもいい作品でした! あんまりネタバレはよくないと思うので、ごにょごにょとぼかしながらしゃべるのですが、アニメ的なものと映画的なものが絶妙にミックスされてたように思いました。お話としてはある種のロードムービーというか冒険の旅っぽい話というか、川の工事で住みかを終われたネズミの一家(父:山ちゃん、兄:折笠さん、弟:金朋さん)が新しい住みかを求めて旅をしながら事件にでくわしたり別の生き物とであったりという感じなのですが、ひとつひとつのカットの使い方とわっと動くところの緩急がとてもよくて、74分の上映時間をあっという間に気持ちよく過ごせました。

特に印象に残ったのは、映画的なところでは、「工事の手が入ってしまって自分たちの巣に帰れなくなることを一家が実感する」シーン。川を挟んで巣と一家がいるという位置関係で、まず川向こうからその瞬間を見る一家を移して、一家の視線に変えて、そのあとカメラを川向こうに渡らせて切り返して裏側から工事を見せて、反対側から一家を見せるっていう一連のシーケンスのせつなさ! 映画だよ! これが映画なんだよ! と思ってしまいました。

アニメ的なところでは、弟の動きを子どもたちが注視してましたが、個人的にはポイントポイントで見える水の使い方が好きかも。あとは図書館で逆さに入ってる本を抜いて、また戻されて、そのあとまたちらっと映るところ。あとバスのなかで走るところかな。年甲斐もなくわくわくして声をちょっと出してしまう私恥ずかしいネ。

スタッフの情報を追記しておくと、平川哲生さんは監督・絵コンテ・演出で、演出協力の原恵一さんと美術監督の山本二三さんはもう判明していますが、脚本は吉岡たかをさん、作画監督丹内司さん、音響監督はたなかかずやさん、制作はぎゃろっぷでした。

声優も豪華ですよね、何というか、途中で出てくるドブネズミのグレンは大塚明夫さんなんですが、反則的にかっこいいです。せっぱ詰まったところで暗闇の奥からあの声で「こっちだ」とか言われたら、そりゃついていきますって! 明夫さんファンは本編中で長めの詩を朗する聞き所のシーンがありますのでぜひ視聴してください(しかもその内容が物語的に超重要)。

そういえば、チケット(左の写真)、ちゃんと日時と場所が印刷されてて、もらったときにびっくりしました。もぎられる前に撮影したので、半券のところにもきっちり書いてあるのがわかると思います。たぶんどこの会場でも、オリジナルのものがもらえるんではないかと。小規模な上映会なのに、NHKの豊富な予算をひしひしと感じました(笑)。

上映後、家族みんなで楽しんで見られるアニメ・映画って大事だな、とあらためて思いました。自分が童話関係の翻訳をやってるっていうこともあるのですが、細々と脚本仕事をする身としては、そういういいホンを書くよう頑張っていきたいです。

以上、今後もこのブログは平川監督をポスト原・細田と位置づけて全力で応援してまいりますので、よろしくお願いします!^^