Baker Street Bakery > パン焼き日誌

ある翻訳家・翻訳研究者のサービス残業的な場末のブログ。更新放置気味。実際にパンは焼いてません、あしからず。

シャーロック・ホームズのオンデマンド本


3月末から「シャーロック・ホームズ全集+オーディオブックCD 刊行計画」として始動していたシャーロック・ホームズの翻訳プロジェクトですが、個人的には、クリエイティブコモンズを使っての創造と経済の実験という意味合いもあります。テクストをフリーで公開することによって、どんなふうにそのものが広がっていくのか、そしてその広がり方にはどういう形があり、またその行為自体にどういう可能性があるのか、そんなことも見守りたいというふうに考えています。(もちろん翻訳が楽しいという自分の第一義があるわけなのですが)そういうわけで、プロジェクトといっても固いものではなく、そこで生産されるテクストは、フリーテクストとして「このテクストを使って面白いことをしたい人はご自由にどうぞ!」と宣言しており、人の手によってどんなふうにも広がりえるものだと思っています。

そんなとき、「あのときの王子くん」のオンデマンド本を作っていただいているlibroria.netさんが、そんな話を聞きつけて、ホームズのオンデマンド本を制作・販売していただけることになりました! テクストの公開に合わせて、日本語訳文と英語原文を両開きで収録した本を、1冊1000円というオンデマンド本としては破格のお値段で、刊行していただけるというのです。

もちろん、その原動力としてテクストそのものの使用が自由、ということがあるかと思います。みなさまにも、色んな形で、どんどん使っていただけるとありがたいです。サウンドノベルでもいいかもしれません。もっと他の使い方があるかもしれません。勝手に使っていただいて全然構いませんし、もしご連絡いただけたら、こちらから協力できることはお手伝いしたいと思っています。

今回の展開に、私もかなりわくわくしています。本と朗読の同時刊行は、どれくらい相乗効果があるのか?とか、色々と気になることもあります。もちろん、この動きによって、訳者自身のモチベーションはかなり上がっていることは紛れもない事実ですし、インセンティブ面でも、かなり高いものがあるのではないでしょうか。訳者としても、これからのことも楽しみにしている次第です。