ベアトリクス・ポッターの動物絵本、青空文庫にて公開!
1ヶ月以上もブログの更新をしていませんでしたが、それはひとえにサービス残業(このブログの位置づけ)ができないくらいに忙しかったことに起因しております。なにとぞご容赦いただけると幸いです。
さて、本日3月10日、こつこつとこのブログでも草稿をアップしておりましたベアトリクス・ポッターの動物絵本ですが、これまでの
の4作品を、正式版として青空文庫にてクリエイティブ・コモンズで公開致しました! フリーコンテンツの仲間入りをしたうさぎさんたちを、どうぞよろしくお願い致します。
いろいろのお知らせ
昨年の12月に頑張りすぎて息切れしている感のある今月ではありますが、私の関わりましたことなどにつきまして、いくつか告知がございます。
宮沢賢治「銀河鉄道の夜 ~Nokto de la Galaksia Fervojo~」
- 作者: 宮沢賢治
- 出版社/メーカー: でじじ発行/パンローリング発売
- 発売日: 2010/02/08
- メディア: CD
- 購入: 1人 クリック: 3回
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挿入歌「星めぐりの歌」も完全再現しております。よろしければぜひどうぞ。
そしてこちらはとわずがたり書房から刊行されましたムック「新世紀プロレ」。このなかでジョセフィン・テイ『時の娘』の書評を見開きで書かせていただきました。直販ページはこちらから。
- 作者: とわずがたり書房
- 出版社/メーカー: とわずがたり書房
- 発売日: 2009/04/11
- メディア: ムック
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1月はあまりブログも更新できませんでしたが、ぼちぼちと調子を上げていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。(ベアトリクス・ポッター著作集も諸々の都合によりなかなか進められませんが……1作品、草稿だけ上げておきます。)
国際カンファレンス「日本における翻訳学の行方」雑感
先日の9日と10日に立命館大学にて国際カンファレンス「日本における翻訳学の行方」が開催されました。開催者・発表者、そして会場でお世話になった方々にあらためて御礼申し上げます。たいへん勉強になりました。個人的にも様々な示唆や励ましをいただき、参加できた僥倖(もう少しで気づかず見逃してしまうところでしたので)に感謝する次第です。せっかくですので会議の題目にも絡めまして、参加後の雑感として「日本における翻訳研究」について思うところを記しておこうかと思います。
- Judy Wakabayashi教授が「国内の研究者が集まって交流をはかることは結構だが、内輪的になりすぎるのもよくない」という旨の発言をなさっていましたが、その通りで、これからも良い意味でお互いをライバルとして切磋琢磨し、時に力を合わせ、ともに批判し合いながら研究の向上に務めていければと思います。私も時折厳しい見方をするかもしれませんが、けして他意はございませんので。
- 研究書の邦訳が少なく、それゆえ国内の認知が低く他分野からの参加もわずかだ、という点につきましても、改善していかなければいけないとあらためて感じました。現在私の専門であるイギリス翻訳理論史からいちばん近い有名人は、やはりProf. Lawrence Venutiでしょう。The Translator's Invisibility: A History of Translationは、オーソドックスな英文学から見れば、理論に引きずられすぎな点や多少?な箇所もありますが、やはりその重要度から言っても翻訳が急務でしょう。どなたかがなされるのであれば英文学方面から私もぜひ協力致しますし、もし私がやらせてもらえるのであれば全力を尽くしたいと思います。
- Venutiと言えば氏の編集したThe Translation Studies Readerもありますが、自分の便宜のために部分的に訳したまま放置してあります。SteinerやHolmesの論文とか。あれもどうにかできないかなあ……。あのなかで出ているのは、Walter Benjaminといった以前より邦訳があるものの他は、阿部マーク・ノーネス氏のものだけでしたっけ。
- もちろんお互いの研究成果の共有についても進めなければなりませんね。私の修士論文の対象であるAlexander Fraser Tytlerにつきましては、近いうちに抄訳+解説という形での研究ブックレットをavailableにしたいと思いますので(鋭意準備中)、少々お待ち下さい。
このブログをご覧になっておられる方が想像以上にいらっしゃって驚きましたが、どうぞ今後ともよろしくお願い申し上げます。ちなみに会議の最後のあたりでちょこっと触れさせていただいた野村喜和夫さんの文章の書誌については、前エントリに出した「別宮貞徳と消費者運動」のなかにも入ってますので、ご参照ください。一読してわけのわからない散文詩に近いものではありますが、非常に示唆的な、翻訳への直感だと個人的には思います。
季報『唯物論研究』第110号「特集 この一冊 Part1」
アニメ特集のときにもお世話になった季報『唯物論研究』さんで、本のレヴューを書かせていただきました。大勢の方々が「この一冊」を選んで書評なさっていますが、私が選んだのは柳父章さんの『翻訳語成立事情 (岩波新書 黄版 189)』です。今ではその「愛」あるいは「恋愛」という言葉の考察について批判もありますが、やはり欠かすことのできない古典(基礎文献)として、柳父さんの一連の著書を取り上げたく、いちばん手に入れやすいこの本を取り上げました。カセット効果の解説と個人的に思うところが述べてあります。
このレヴューで私の意見として記したことは、まだ仮説にもなりきれていない単なる思いつき・直感のたぐいなのですが、今後将来的にこのようなことを実証的に調べてみたい(みよう)ということの現れでもあります。いただいてあらためて読み返してみると、助辞の「は」や「とって」が学校文法からは外れてるなあ(私の癖です)と思ったりもしますが、あしからずということで。
他にも翻訳という観点からは、水田洋先生がホッブズの『リヴァイアサン』について、翻訳の周辺にある個人的回想を書かれていて、たいへん興味深い文章となっていました。ちなみに私は水田先生の翻訳については、「別宮貞徳と消費者運動」の注釈でも触れたように、翻訳相対主義の観点から、対象とする読者が目的に合致する限りにおいては評価する姿勢を取っています。(別宮先生の功績を認めつつ、その点では批判的立場を取りました。)
季報『唯物論研究』について、一般への頒布は新宿の模索舎が取り扱っています。店頭もしくは通販(当該ページ)にて購入することが可能です。ご興味を持たれた方はそちらからどうぞ。
石川アルモニア「RUR=i」公演告知
近々、拙訳『RUR』を基にした舞台が公演されます。
石川アルモニア 公演
「RUR=i」
原作:カレル・チャペック「RUR――ロッサム世界ロボット製作所」
訳:大久保ゆう
潤色・演出:石川和音
人間、ロボット、まったく違う新しいもの――それぞれの「愛」のかたち。
「名前なんか、なくったっていいのに!」
「愛?もちろんないね。ロボットは愛さない。自分でさえな。」
「人間以上に人間を嫌ってるものなんてないよ。」
2010年2月26日(金)〜28日(日)
- 26日(金) 19:00〜
- 27日(土) 14:00〜/19:00〜
- 28日(日) 14:00〜/18:00〜
全席自由/前売・当日 1000円
@pit北/区域
http://armonia-i.jugem.jp/?pid=1
東京都北区王子1-13-18 B1,2F
今回この芝居を打つのは、日本大学藝術学部の学生さんたちです。お近くにお住まいの方は、ぜひ足を運んでいただけると幸いです。予約についてはリンク先からどうぞ。(ちなみに私はこの公演に直接的には関っておりませんので、あしからず。)